ほかの屋台に

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ほかの屋台に

息子は誇らしげに透明なフィルムになっている箱の窓部分を僕のほうに向けながら、言いました新加坡自由行
 「ベンツだよ、ベンツ!!」
 ほう、確かにベンツです。箱の窓からメタリックシルバーのベンツの車体が見えます。リモコンカーのようです。
 「ね?ベンツ!」
 息子は、目を大きく見開いて、にこにこしました。
 「本当だ、ベンツだな。」
 僕も、なんだか嬉しくなって、にこにこしました。
 「見張っててね!フジ、ともだちとほかの屋台に行くから、ね?ね?花火が始まったら戻ってくるから、ね?ね?」
 「わかった、わかった、行って来い、見ててやるから。」
 いかなベンツといえども、リモコンの自動車で、-言ってみれば『おもちゃ』ですから-、手放しに喜ぶような年齢かいな、と少々不安に思いながらも、息子の指示に従うことにしました。
 
 暫くのち、花火が終わりました。
 祭りはまだ続きますが、さい君の目的である花火も終わっちゃったし、息子のお友人達も帰るみたいだし、そろそろ我々も帰ろう、ということになり、ビニールシートを畳んでゴミを捨てて、帰宅の途につくことにしました史雲遜護髮中心
 「パパ、重たいからベンツ持って。」
 息子は景品を抱えて歩くのが困難と見えて、僕に再び指示しました。ふむ、重さはそうでもないですが、さすがに半身の大きさがあると、彼が抱えると人間の姿が殆ど隠れて、景品が歩いているようです。これで人混みの中を歩くのは不安と見えます。
 僕は、景品を持ってやりました。
 「落とさないでね。」
 わかってます、わかってます。僕は自分の体で押しつぶしてしまわないように、フィルム窓の部分を外側に向けて、丁寧に景品を胸に抱え、さい君と息子の一歩後を出口に向かって歩き始めました。
 ちょうど花火が終えたのを境に、多くの人が祭りを後にし始めています。一気に狭い出口に向かった大勢の人の流れは、出口で暫時大渋滞を引き起こしました。
 いやあ、大混雑だな、みんな非日常に飢えてるわけか、それにしても、普段こんだけの人がこの小さな街のどこに・・・・・、と僕が心の中で呟いていると、どこからか
 「すんげえ人だな、東大立目じゅうの人が全員出てきているんじゃないの?」
 という大きな話し声が聞こえてきます。やあ、わが意を得たり、二の句を告げてくれたな、と僕は声の出どころである前方へ軽く目を遣りました中文補習
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